解答:(ア)
解説:
今日の大阪弁のポイントは、「どんつき」ですな。「突き当たり」のことです。会話では、「ここまっすぐ行って、どんつき、ピッと右入って」と言っていますから、「ここをまっすぐ行って、突き当たりを右に曲がって」という意味になるな。「どんつき右入って」と言われたら、道の一番奥まで行って、そこから右へ曲がるわけですな。大阪では昔から使われてきた言葉ですが、最近では若い人には分かりにくくなっているとも言われます。私らの世代では、今でも普通に使いますけどな。こないだテレビで「どんつき」という言葉を若い人が知らない、という話をやってました。大阪弁も、時代とともに少しずつ変わってきましたな。
「どんつき」は大阪だけで使われる言葉、というより、関西を中心に使われてきた地域的な表現として知られています。つまり、「大阪人しか絶対に使わない」というほど単純な話ではありません。方言というものは、都道府県の境界線できれいに区切られているわけではないんですな。「大阪弁=大阪だけで使われる言葉」と考えるより、大阪で特によく使われてきた言葉と考えたほうが、実際の言葉の姿に近い場合もあります。
では、「どんつき」の「どん」は何なんやろ?「突き当たり」の「突き」に何かがくっついたようにも思えますが、語源については諸説あり、単純に「これが語源です」と断定するのは難しいところです。「突き当たる」という意味を持つ「つき」に、強調するような音が加わってできたと考える説などがあります。「ドーンと突き当たる」つまり、道がそこで終わるというところから来ていると思いますが、よくわかりません。昔から口頭で使われてきた言葉ほど、「誰がいつ作ったのか」という記録が残っていないことが多い。語源については「こういう説がある」とぐらいにしておくほうが、良い場合もあります。
さて、今回の会話では、もう一つ気になる表現があります。「そのまー前や」です。これは、「その真ん前」という意味ですな。「まー前」は、「真ん前」を少し崩したような言い方。大阪では、「そこのまー前や」、「駅のまー前」など、昔から普通に使われてきました。これも「大阪弁や!」と強く主張するというより、大阪の日常会話でよく聞かれた、くだけた言い方と考えるほうが自然でしょう。最近は、若い人になると「真ん前」と言うことが多くなったように思います。こういう小さな変化を見ていると、言葉というものはほんまに生き物やなと思いますな。
そして、個人的に今回ぜひ残したいのが、「ピッと右入って」です😀 これも説明するとなると難しい。「右に曲がってください」でもええ。「右へ入ってください」でもええ。でも大阪人は、「ピッと右入って」と言う。この「ピッと」は、方向を示す動作を短く、感覚的に表現しているわけですな。大阪人は、こういうオノマトペ(擬音語・擬態語)を会話の中で上手に使います。「パッと行って」「サッと済ませて」「シュッとした服」グッと飲んで」などなど。特に「シュッとした」は、大阪では人や服装などを見て、「すっきりしている」「スマートである」「かっこいい」といった意味で使います。ただし、これを説明するのは難しい😀 以前、私が散髪屋で、「横はシュッと切ってくれ」と言うたら、「シュッとって、どう切るんですか?」と言われたことがあります。この場合は「さっと切る」ですかね。これもオノマトペか
「シュッと」が何センチなのか、何ミリなのか、理容師さんにも分からん。でも大阪人には、なんとなく分かる。この「なんとなく伝わる」というところが、オノマトペのおもしろさでもあります。
「どんつき」もそうですが、大阪の会話には、単に意味を伝えるだけではなく、状況を感覚的に伝える表現がけっこうあります。「ピッと右」や「パッと行く」など。こういう言葉は、辞書で意味を一つに決めるのが難しい。その場の状況や話し手の表情、声の調子などと一緒になって意味が伝わります。方言は単なる「標準語の言い換え」ではありません。その地域の人たちが、長い時間をかけて身につけてきた会話の型や感覚も含まれているんですな。そう考えると、「どんつき、ピッと右入って」という、わずか一言の道案内にも、昔の大阪の話し言葉の雰囲気がかなり詰まっているように思います。
「どんつき」。意味は「突き当たり」。それだけなら、なんてことのない言葉です。でも、「ここまっすぐ行って、どんつき右や」と言われると、なんとなく大阪の町の風景まで想像できる。こういう言葉が少しずつ使われなくなっていくのは、やっぱり寂しいですな。「どんつき」も「まー前」も、「ピッと」も「シュッと」も、まだまだ大阪の会話では生き残っていてほしい。大阪弁は、何も「おおきに」とか「なんでやねん」だけやないんやで😀
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