解答:(ア)
解説:
ここでのポイントは、大阪弁における 「あかへん」 という表現の多義性ですな。「あかへん」は二通りの意味を持ちます。
1.「あかへん」=「開かない」
例: 「このドア、あかへん」=「このドアは開かない」
標準語の「開く」に対応する意味。男2はこの意味で解釈してる。
2.「あかへん」=「だめだ・良くない」
例: 「そんなんしたらあかん」=「そんなことをしてはいけない」
大阪弁では禁止・否定の意味で非常によく使われます。男1はこちらの意味で「(やり方が)あかへん」と言っています。ただし、この意味では、近年では「あかへん」とは言わないかもしれません。「あかん」が多いですかね。
この会話の面白さは、同じ「あかへん」をめぐって 意味の取り違え が起きている点です。
男1は「それはだめだ、やり直し」という指摘をしているのに対し、男2は「ドアが開かない」と物理的な意味にとらえてしまったわけです。
大阪弁の「あかん」「あかへん」は、会話の文脈によって失敗・禁止の意味、そして物理的に開かないの意味を使い分けます。日常会話では後者よりも前者(「だめ」)の用法のほうが圧倒的に多いため、今回の答えは(イ)が正解となります。
標準語の場合、同じ表現で意味がぶれることはないでしょう。標準語のことはようしらんけど。
1.標準語の「開かない」
物理的に「開けられない」という意味に限定されるかな。
例:「ドアが開かない」=ドアの物理的問題。
2. 標準語の「だめだ」
否定や禁止を表すのは「だめ」「いけない」「よくない」など、別の言葉で表現でしょう。
例:「こんなんじゃだめだ」
つまり、標準語では「開かない」と「だめだ」は別の単語で表現されますが、大阪弁では 同じ「あかん/あかへん」 で表されるため、文脈によって意味が分かれるのです。
大阪弁は会話のテンポが速く、文脈から意味を読み取ることが多いのが特徴です。
そのため「意味が一つに決まらない表現」も日常的に使われ、聞き手が空気を読んで解釈します。今回の会話のように、聞き手が意図を読み間違えるとちょっとした笑いが生まれます。
コメント